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2011年度 活動指針

理事長所信

社団法人北九州青年会議所 第59代理事長 永田 康浩明日に架ける橋 〜あなたの可能性が北九州を創る〜

〜荒れた海に架かる橋のように、私はこの身を横たえよう〜

(原題:Bridge over Troubled Water 詞:ポールサイモン)


はじめに

1992年1月14日 北緯34度24分 東経151度16分。

低気圧通過に伴う西寄りの暴風は、太平洋上に巨大なうねりを作りだし、突如として現れたビルのような高波は、次々と我々に襲いかかって来た。誰もが恐怖に脅え、生唾を飲み込み、がむしゃらにライフラインにしがみ付くしか方法が無かった。

その時、当直航海士の大声が甲板上に響き渡る。

「実習生!ビビるんじゃない!この船は絶対に沈むことはない!なぜなら、この船は日本の海技を伝承してきた練習帆船日本丸なんだ!」

何故だかは分からなかった。しかし、その叫びには絶大な信頼と、この船を確実に目的地まで導いてくれる説得力があった。我々は再び立ち上がり、手の皮が裂け、血で汚れたブレースロープを、ただひたすらに引くのだった。

私たちが暮らす現代の社会も、荒れた洋上に浮かぶ小さな船と同じように、噴出する様々な社会問題が巨大な波となって、次々に押し寄せてきています。劇的に変化する現実に不安を抱き、ただライフラインにしがみ付いたまま、時の静穏を待つのか。それとも、この荒波を切り裂くために勇気をもって立ち上がり、推進力を得るためのロープを引くのか。そして、人々を奮い立たせ、未来への希望を抱かせる勇気を与えるのは誰なのでしょうか。

かつて、この国の歴史に名を馳せた人々の多くには、自らが師として仰ぎ、尊敬や憧れを抱く指導者との出会いが、その後の人生に大きな影響を与えた事として伝えられています。現代よりもさらに混迷を極めた時代。自分を取り巻く社会環境を悲観することなく、未来への期待を抱き、己の思想と志を高めることが出来たのは何故なのでしょう。それは、指導者や師の偉大なる背中を透過し、意気軒昂に活躍する自分の未来を見る事ができたからであり、そして、その多くが青年期という貴重な年代に、多様な価値観を目の当たりにする事によって自らの可能性に気づき、それを確信とするための修練により意識が高められたことは歴史が明らかにするところです。

では、彼らと同じ青年期を迎え、目を背く事の出来ない、さまざまな現実を突き付けられた現代に生きる私たちは、どのような形で社会と向き合うべきでしょうか。それは、かつての先人たちと同じく、多くの人々との出会いや多元的な価値観との遭遇によって見出される、自己の可能性の発見にあるのです。

私たち北九州青年会議所(以下、北九州JC)は、JCの三信条の下、明るい豊かな社会の創造を目指した青年運動を通じ、このまちに様々な歴史を刻んで参りました。この歴史というものは、単なる事業や作業の連続ではなく、人々の志の積み重ねに、自らの可能性によって高められた革新の志を積み重ねていく事にあります。しかし、この自らの可能性というものは、歴史の書物に登場する崇高な人物や有識者の教えから感じられるものだけではなく、私たちのすぐ身近な場所からであったり、その場所に秘められた人々の想いであったり、あなたのすぐ隣に座っている仲間たちから感じられる事でもあるはずです。

次代に続く人々や子どもたちは、いかなる状況にあっても社会と真剣に向き合い、歯を食いしばって志を高めるあなたの姿を憧憬(どうけい)することにより、未来への希望と期待を抱くことができ、主体的に行動していく意識が醸成されます。つまり、あなたの可能性は、志を同じくする者の可能性であり、その集合体であるJCの可能性は、このまちの未来に対する変革の可能性を大きく飛躍させ、この国の更なる発展へと繋がることになるのです。

このまちの明日へと続く架け橋を築いて行こう。個は小さくとも、私たち一人ひとりの可能性がお互いを支え合い、高く掲げた強固な架け橋を築こう。全ての世代の人たちが安心して歩んでいける明日への架け橋を築くことは、このまちに生きる青年としての使命であり、私たち北九州JCの使命でもあるのです。

2011年度北九州JCは、以下の六つを基本方針として、明るい豊かな北九州の構築のために運動を展開して参ります。

このまちの魅力的な価値を見出す

かつてこの国の近代化産業の発展を支え、また海上交通の要衝として発展した門司港。時代の流れと共にその役割は変わってきましたが、現在では大正浪漫の香りを醸し出す観光地「門司港レトロ」として、家族連れや多くの観光客で賑わっています。この門司港と対岸の下関との間に、早鞆ノ瀬戸(はやとものせと)と呼ばれる狭い海峡があります。この海峡は、アジアと北九州、また阪神地区までを結ぶ重要な船舶航路であり、一日に約1,000隻の船舶が輻輳(ふくそう)する、海上交通の難所としても知られています。大きくS字にカーブする複雑な地形と早い潮流。最狭部はわずか650メートルしかないこの海峡では、古くから多くの船が難破や座礁、衝突事故を繰り返してきました。かつて海洋技術が乏しかった時代、ここを通峡する船に乗り合わせた人々は、ただ無事を祈ることしかできませんでした。この海峡の東の玄関口に、部埼灯台(へさきとうだい)という文化的にも重要な灯台があります。その灯台の麓に、ここを航行する船舶の道標として松明を灯し続けた僧・清虚(せいきょ)の像が立っているのを見た事があるでしょうか。海上関係者、もしくはレジャーや釣り船など、海からしかその姿を望む事は出来ないかもしれませんが、かつて海からこのまちを見続けた私としては、語り継がなければならない大切な話があるのです。

僧・清虚は、安永6年(1777年)現在の大分県国東市(くにさきし)国見で生まれ、17歳の秋祭りで相撲を取った時に、つい力余って友人を死なせてしまいます。心中深く憂いを秘めて生きる清虚は、40歳を過ぎて出家し、死なせてしまった友の菩提を弔うため高野山へ向かう途中、船便でこの部埼沖を通過します。「魔の海」とも呼ばれていたこの海峡に向かって無事の通峡を祈る人々の姿から、清虚は岬の上で焚き火をして、夜間航行する船の道標となる決心をするのです。昼は托鉢をして資材を集め、夜は通峡する船の安全を祈りながら火を焚きました。一日一食しか食べず、一日も怠らず火を焚き続ける清虚の姿を見て、始めは笑っていた村人たちも、やがてこころを動かされ協力をするようになるのです。清虚がこの世を去っても、村人たちはその火を絶やさず、明治5年に現在の洋式灯台が建てられることになりました。この清虚の偉業は、今でもこの海域に安全をもたらし、この海で暮らす者のこころを照らし続けているのです。

世のため人のために生きることが馬鹿らしいと答える、自己中心的な考えが蔓延する現代社会において、私たちは未来に何を伝えなければならないでしょうか。かつてこの海を生業としていた私にとって、世のため人のために生きた清虚の偉業からの恩恵を受け、今がある事をありがたく思います。そして彼を支え、受け継いできた人々のこころが宿るこのまちに生を享けた事をありがたく思います。このまちを築いた様々な歴史には、そんなこころの功績が至る所に存在するのです。様々な運動を通じて社会変革を訴えるJCであるならば、そこに落ちた汗の一粒を感じて欲しいのです。まずは、なぜその人がその運動を始めたのか、なぜその場所にそのこころが宿ったのかという、あなたの探究心を高める事からはじめましょう。そこから、私たちの道が見えてくるはずです。そこに宿ったこころを感じることが人々の琴線にふれる運動であり、JC運動でいう創始の精神であり、すべての運動の根幹であるのです。

明るい豊かな北九州を創造する

私たちJCは、希望に満ち溢れた明るい豊かな社会の実現にむけ、次代の担い手として大きな責任を自覚し、新しい世界の推進力となるために、日々ひたむきにJC運動に邁進しています。では、明るい豊かな社会とはどのような社会なのでしょうか。

国連開発計画(UNDP)が発表した2009年度版「人間開発報告書」によると、国民生活の豊かさを示す指数で、日本は前回より順位を二つ落とし、世界10位という結果でした。この指数は平均寿命や就学率、一人当たりのGDP(国内総生産)などから算出されますが、確かに私たちの生活を見てみますと、贅沢な食事にあずかり、最先端の医療技術やハイテクノロジーの発展、高度経済成長時代の恩恵により、便利で快適な生活を送っていることは間違いないでしょう。また、国の社会政策や産業構造などの違いにより、この指数上位の国が必ずしも優れている、と言いきれない事も多くあると思います。

  

しかし、ここで注目したいのは、この国に蔓延していると言われる様々な問題は、この指数が上位の国においても同様に起きていることであり、日本を代表する問題だけではないということです。では、豊かさの基準はどこにあるのでしょうか。それは単純に、「あなたは豊かですか。」との問いに、「私は豊かです。」と自信をもって答えられるか、ということにあるのではないでしょうか。

ある国では、長期間に及ぶ経済危機により、エネルギーの枯渇問題と、深刻な食糧難に陥った時期がありました。現在では、世界でも異数な平和で豊かな国として知られるまで、驚異的な回復を遂げましたが、その当時は国民全体が飢え、どこの家庭も停電状態が続く中、病院だけは煌々と電気が灯されていた事に、国民は自国への絶大な信頼を持ったと伝えられています。国策や社会構造、時代背景の違いなど、一様に決めつける事は出来ない複雑さはあるものの、その国の人々の連帯感や精神性といったものが、現在のその国を形成し、その危機を乗り越えた一因であったことは間違いないでしょう。 近年、私たちが追い求めた、人を豊かにするはずの物質的効率を優先する社会は、皮肉にも人の豊かさを奪い、国の豊かさも失ってしまったのではないでしょうか。

明るい豊かな社会を創り上げようと、市民意識変革運動を推進するJCであるならば、まずは私たちJAYCEEが「明るく」、そして「豊か」でなければなりません。JCを個人の機会として捉えるならば、現代の豊かさの中におかれる自分を見つめ直し、自分づくりの機会に積極的に参画することで、自分自身に秘められた変革の可能性を見出し、己の価値を高める絶好の機縁として捉えてみましょう。様々な修練の中において積んだ徳は、私たち自身の豊かさとなり、その豊かさは私たち自身を明るく元気にする糧となるはずです。そして、たゆまない努力を重ね、地域社会のリーダーとして堂々と活躍するあなたの姿を世に示すことは、多くの知己を得るJCの好機でもあり、JC運動に力を注ぐ後進の育成にも繋がることになるのです。さらに、私たち自身の成長は、JCに会員を送り出している会社や私たちを支えてくれる人たち、そして市民が最も期待している事でもあり、JC運動をさらに推進していく為にも欠かせないことであるのです。

あなたは明るいですか。あなたは豊かですか。

真の国際人を育成しよう

「朝太陽が昇り一日が始まる。人々は目覚め仕事に向かう。やがて日が沈み人々は仕事を終えて家に戻り休む。夜が来て月が天に上る。その繰り返しが今日も明日も明後日もずっと続いていきます。静かに美しく毎日が過ぎていき、全てが、色々なものや人々の役割がきちんと機能している。今日の続きとしての明日を。明日の続きとしての明後日を安心して待つ事が出来るので、未来への期待も持つ事が出来ます。一日一日が平安と共にあります。日本の経済力やハイテクノロジーなどの世界に誇れる力はここから生み出されるのです。」

これは、ある日本で暮らす外国の方が、日本を紹介するために書かれたものです。私たち日本人は、未来や将来のことを考えてその計画を立て、明日のために今日するべき事を行える国民であると言えるでしょう。しかし、世界に目を向ければ、紛争や様々なトラブルにより「明日」さえ考える事が出来ない国も多くあるのです。

今、私たちが安心して平和に暮らす現代の社会は、先人たちのたゆまない努力によってもたらされたものです。近年、様々な国益が乱立する厳しい社会情勢におかれる我が国において、私たち世代のために残された平和を、子どもたちの世代に繋げるためには、アジアにおける国際的な関係や国際貢献といった様々な課題についての意識を、私たち市民一人ひとりが関心を持たなければなりません。「人類の同胞愛は国家主権に超越する」という理念の下、世界の安定と平和に寄与するために運動を行うJCであればこそ、この国における最高の価値であり、唯一残された資源ともいえる「人」の育成に注力しなければならないでしょう。その個々人との間で行われる緊密で多元的な民間外交こそが、これからの国際社会における相互発展のために、最も必要とされる機会であるのです。

私たちは、青年経済人という立場で日々の稼業に勤しんでおり、自分の会社や企業、所属する団体についての特徴や活動については、熱心に語ることが出来ると思います。では、外国の方に「日本とはどのような国か」と、質問されたとき、即座に答えることができる人はどれくらいいるでしょうか。様々な伝統や文化、受け継がれてきた素晴らしい日本人の精神性など、改めて日本全体の事を指して表す事は難しいかもしれませんが、私たちが暮らすこのまちのことを通じて日本を表現するのであれば、自信を持って多くの魅力を語る事が出来るはずです。

私たち北九州JCは長きにわたり、様々な国際交流事業を継続して行ってきました。その事業によって育まれた友情こそが、世界の恒久的な平和に直接的に寄与する、世界的なJC運動の基盤であるのです。私たちは受け継がれたその目的をしっかりと理解することによって、私たちのまちに誇りと愛着を持ち、自らの言葉で文化や歴史、課題を語ることができ、互いの違いを尊重する、真の国際人を育むことが出来るのです。

地域アイデンティティの確立にむけて

近年、東アジアや中東情勢を伝えるニュースや報道、また映画やゲームなどの流行により「海賊」という言葉をよく耳にすることがあります。映画や物語では海賊旗「ジョリー・ロジャー」を掲げ、無抵抗を呼び掛けた後に、金品や積荷を略奪するといったイメージですが、近年問題となっている海賊の手口は、積荷の略奪はおろか、武装した集団が乗組員を人質に取り、高額な身代金を要求するなど、事態は深刻さを増す一方です。

かつて、私が航海訓練生だった頃、マラッカ海峡を通峡する際に海賊船に遭遇した事があります。当時からも、この海域においては海賊被害が多発しており、海賊を警戒する当直に就いたのですが、民間船舶には武力行為に対抗する装備があるわけでもなく、登って来ようとする海賊に向けて高圧水をあびせるという、原始的な手段しかありませんでした。私たちは暗い海面に向けて散水を続け、暗闇をサーチライトで照らし、舷梯(げんてい)から身を乗り出し、半ば狂乱的に叫び、警戒しているという我々の存在を見えない敵に向けて知らせました。その時、我々の支えであったもの、それは紛れもなく、たった一枚の日本国旗だったのです。公海上の国際的なルールとして、船舶は国旗を掲げることが義務付けられていますが、通常では日出と同時に掲揚し、日没とともに降納するとされています。

しかし、この時ばかりは国旗を高々と掲揚させ、この本船自体がひとつの国であるということ、つまり日本国そのものであることを示すと同時に、我々がこの国と仲間を守らなければならないという強い使命感に駆られたのです。

私たちJCは、国家や地域に対するアイデンティティを確立することの重要性について、多くの時間を費やし議論を重ねてきました。このまちに暮らす人々や未来を担う子どもたちに、地域に対する愛郷心を醸成させ、まちの発展のために尽くすこころを育もうとするのであれば、まず私たち自身が、このまちの代表であると自覚することにあると思います。一個人がその地域の代表であるという意識は、このまちの代表であり、このまちの代表はこの国の代表であるとの意識に繋げる事が出来るはずです。その意識に気付かされる機会は私たちの身近なあらゆるところに有るはずですし、またその探究や研究に努めることは、JCの最も得意とするところではなかったでしょうか。

環境意識を向上させるために

ダウンバーストと呼ばれる気象現象をご存知でしょうか。局地的で短時間のうちに上空から吹く極端に強い下降気流のことで、下降噴流とも言われます。航空機の着陸事故や練習帆船アルバトロス号の沈没を題材とした映画「白い嵐」で有名になりました。このダウンバースト現象は、発生の予測や前兆傾向が分かりにくく、また台風などのある程度予想される暴風(瞬間風速20〜40m/s)を上回る強風が突如として吹くため、昔から船乗りの間では伝説の嵐として恐れられてきました。私は、実際にこの嵐と遭遇し、瞬間風速60m/sを振り切る猛烈な暴風雨と、下降気流で舞い上がった海水によってホワイトアウト状態に陥り、両舷10節の錨を降ろした大型船舶が数kmにもわたり走錨(そうびょう)する事態に陥った経験があります。この嵐の発生は、外国や遠い洋上での話ではなく、私たちのごく身近な場所で発生したことであったのは、異常気象現象が私たちの身近な問題であると痛切に実感することになりました。

私が経験した気象現象のように、各地で発生する異常気象がもたらす災害は、私たちの生存と将来を脅かす地球環境全体の問題となっています。私たちのまち北九州は、世界の環境首都として持続可能な社会をつくるために、産学官民が一体となった運動を行ってきました。世界の環境首都の市民としての自覚をもって行われる様々な運動は、公害克服の歴史から人類の生命の尊さを学んだ、私たち市民の「公の精神」という大切な精神性によって行われるものであり、今や地球上に生きる全ての人々の為ではなくてはなりません。

また、このダウンバースト現象は、気象学者の藤田哲也氏(北九州市小倉南区中曽根出身)によって発見されました。藤田氏は、少年時代に中曽根の自然に親しむことによって科学や自然、天文学に興味を抱いて勉学に励まれ、1963年には気象学のノーベル賞ともいわれる「応用気象学会賞」を受賞されています。藤田氏の気象研究を通じた世界への貢献は、このまちの自然環境に対する意識が培ってきたものでもあり、今このまちに生かされている私たち青年の使命は、世界に貢献しうる持続可能な北九州へと導くために、率先して行動していくことにあるのです。そのためには、これまでの様々な取り組みから、企業や団体などとの連携はもちろん、私たち自身の視野を広げ、大局的な視点から広域的な運動展開の可能性を見つける必要があります。JCのスケールメリットを生かすことはもちろん、このまちの環境首都市民としての誇りを、地球上に生きる全人類共有の誇りとなるような、北九州JCの情熱から生まれる運動を推進していきましょう。

全国会員大会の成功にむけて

明治維新以来、国家百年の大計を担う重要な役割を果たしてきたこのまちには、現代に至るまでに噴出する様々な問題に対して、自分たちの力で何とかしようとする、先人たちの果敢なる挑戦の歴史があります。五市の対等合併や公害問題の克服、先駆的なものづくりの精神や環境技術の国際貢献など、先人たちは多様化するわがまちの価値観に進取的に取り組んできました。その様々な功績のもとには、愛すべきわがまちに立ちはだかる困難に発奮する、北九州人の気質があったと言えるでしょう。

私たち北九州JCは半世紀以上にわたり、青年運動の旗手として様々な運動を展開し、その運動の多くはこのまちの大きな価値として発展を遂げ、また市民の意識を大きく変える力として伝わりました。そして今、私たちは全国会員大会主管という過去最大の好機を迎え、我がまちの新たなる可能性の扉を開く歴史的な瞬間を迎えたのです。この大会がもたらす様々な効果を、瞬間的な一過性のものにしない為にも、私たちはこのまちの未来を見据えた北九州のビジョンや理念を明確にし、大会の準備や主管開催に至るまでのプロセスを、多くの市民や仲間たちと共にする事が重要であり、その関係性を強固なものとしなければ、私たちが目指す新たな社会までには至りません。そのためには、この大会が誰のために、何のために開かれるのかという私たちの社会的役割を認識し、様々な関係団体や行政との連携を継続して行い、大会主管の最終準備年度としての自覚を持って役割を確実に果たして参りましょう。

そして、私たちには全国に多くの青年同志がいます。もし、あなたの家に大切な同志が訪れるとすれば、まず何をするでしょうか。部屋の整理や掃除を行い、お菓子や飲み物を買い、夕食をつくる。くつろげるソファーを準備し、楽しめるDVDや音楽などを選ぶ。家までの道筋を書いた地図を送り、お土産を準備するなど、その思いは皆それぞれに募るでしょう。その時、訪れてくれた同志への敬意を込め、私たちの最大にして最高の歓迎の気持ちを具体的に表すことが、全国会員大会の成功の一つであることも認識しなければなりません。

また、日本青年会議所本会や九州地区協議会、福岡ブロック協議会との関わりは、JC運動の本質を学ぶことができ、さらには大会主管LOMとしての連携を深めることと同時に、多くの志高き同志との出会いは、あなた自身を大きく成長させる機会にもなります。このまちの素晴らしい価値を伝えるのは、まずはここで巡り合った大切な同志に対してから始まり、このまちを多角的に捉えた経験があってこそ、LOMメンバーや多くの人々へ説得力をもって伝えることができるのです。全国には、あなた自身の可能性を大きく広げてくれる、素晴らしき同志が多くいる事を経験してみましょう。

全国会員大会主管は、JC運動そのものであり運動の縮図です。2011年度に行われる全ての事業は、このまちの未来を見据えた大会を成功へ導くための、具体的な準備と行動であるのです。その運動の能動者たる私たち全てのメンバーが気概と責任を持ち、LOM一丸となった運動を推進して参りましょう。

終わりに

アイザック・ウォルトン(1593年〜1683年)イギリスの随筆家、伝記作家。

彼が執筆した代表的な作品の中に、Study to be quiet という引用節があります。「静かなることを学べ」と訳され、また神学者は新約聖書に出てくる言葉として、「静かに生きることを学べ」とも訳されていますが、私はこれを「自然から学べ」と解釈しています。彼は、身近な自然と触れ合う事から、社会構造や人間としてのあり方を問うまで思想を深め、自らの生き方を世に示しました。

時は過ぎ、様々な社会進化が遂げられ、バイオテクノロジーや先端的な科学技術が発展した現代においても、私たち人間は、あたり前に存在する自然のサイクルを再現する事や、有機体を完全に造りだすことすら出来ません。様々な関係性が葉脈のように絡み合って成り立つ自然は、人間が全身全霊をもってしても探求出来ないのかもしれません。

この国に伝わる様々な文化や伝統からも読み取れるように、人間と自然が調和することの大切さを感じ、そして、その調和に憧れをもって表現されているものが多くあります。人間という個人から、自然という全ての環境から成り立つ社会への貢献は、先人たちより私たちに残された重要なメッセージではないでしょうか。

私たちは、このまちに生を享けた青年として、人生のこの貴重な時間をどのように使うのかを意識し、私たちと社会との間に無数に張り巡らされた関係性が、このまちの社会を構成している事を自覚しなければなりません。つまり、全ての環境を繋げるのは私たち自身であり、私たちの生き方や考え方が、結果的に誰かの環境に影響を与える事を、私たちは決して忘れてはならないのです。

変革の可能性という名のセイルを大きく開き、未来への責任と使命を持ったJAYCEEの英知は、やがて多くの仲間や市民の共感を呼び、このまちを牽引する強い推進力となります。無限なる可能性を秘めた、このまちの未来への真針路をしめす羅針盤を手に、明るい豊かな北九州を目指す地域社会のリーダーとしての姿を、互いに示そうではありませんか。

基本理念

あなたの可能性が北九州を創る 共に築こう明日への架け橋

2011年度テーマ・スローガン

明日に架ける橋 〜あなたの可能性が北九州を創る〜

基本方針

1.このまちの魅力的な価値を見出す、まちづくり事業の構築

2.明るい豊かな北九州を創造する会員の意識醸成

3.真の国際人が実践する、緊密で多元的な民間外交の推進

4.北九州市民の地域アイデンティティを確立させる運動の推進

5.環境首都市民としての意識を向上させる運動の展開

6.全国会員大会の成功にむけた実践的な運動の推進


理事長プロフィール 次

2012年度 理事長予定者 小田 剛 君














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