対談② 北橋 健治 氏

日本青年会議所 JC jc jc ライトダウン わっしょい

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松尾
団法人日本青年会議所2012年第61回全国会員大会誘致運動につきましては、日頃より北橋市長から力強いご支援のお言葉を頂いており、行政関係部署の皆様にも本当にお世話になっております。ありがとうございます。2007年からスタートした誘致運動は3年目となりましたが、本年、誘致が必ず実現出来るよう、我々北九州JCメンバーのみならず、皆様と〝心ひとつ〟に邁進していきたいと考えております。

北橋
在、北九州JCメンバーは300人位だと聞いています。『スリーハンドレッド』という映画がありまして、強烈なスパルタの勇士たちが当時の中東から押し寄せた大帝国を相手に、たった300人で立ち向かうというストーリーなのですけれども、全国大会を誘致するというのは、敵味方ということではないですけれども、全国大会というイベントのもつ巨大なインパクトに向かって是非300人の力を結集して頂きたいと思います。私ども行政もできる限りのバックアップをさせて頂きたいと思っております。旧五市の合併により北九州市が誕生して今年で46年目になりましたけれども、全国大会誘致が実現した暁には恐らく合併後最大級のイベントになると思います。都市の発展のためには、外部に向けた都市の発信が重要であり、JCの皆様方が日頃より一生懸命取り組んでいらっしゃる「環境」や「文化」等を全国に強力に発信できるよう、是非この最大級のイベントを誘致できるよう共に頑張って頂きたいと思います。

松尾
北橋市長も我々北九州JCの先輩でありますからご存知かとは思いますが、昔は全国大会というとどちらかと言えばJC会員に向けた大会だったと聞いております。しかし近年におきましては、大会を開催する地域の活性化と市民意識変革、そして開催地から日本各地に大会の理念をいかに発信していくかということに基点が置かれておりまして、今後もそうした在り方が進化していくだろうと思います。そういう意味においては、我々を含めて北九州市が目指している「世界の環境首都」というビジョンを、大会を通していかに全国4万人のJCメンバーに伝えていくのかが一番の重要課題だと考えます。それと、とにかく北九州市に来て頂かないことには、なかなかこのまちの魅力は伝わらないですし、そこが北九州市の弱いところだというのも我々自身が感じています。まずは、この大会で、そこに来られるのであろう約15,000人のJCメンバーに我々の運動を発信し、そこから全国約4万人のJCメンバーに対しても、小さな輪から大きな輪へと大きな化学反応を生み出していくことを期待して頂きたいと思います。

北橋
やはり世紀のイベントが誘致されるとなると、それに向けてありとあらゆる面で総点検を行い、本市にお越しになる方々が快適に滞在できるように官民一体となって取り組むことになりますので、計り知れない程の前向きなやる気、そして抜群の浮揚効果、発信効果があると思います。我々も「ビジターズインダストリー」ということで一生懸命取り組んでいますが、JCの全国大会は何十年に一回の世紀のイベント、まさしくビッグイベントになると思います。

松尾
ちょうど全国商工会議所女性会連合会の全国大会が同じ2012年の10月に市内で行なわれるそうですし、その翌年2013年は北九州市制50周年、北九州JCも60周年という流れになりますので、ホップ・ステップ・ジャンプと、まちが賑わい活性化していくのではないかと期待しております。そのためには最後まで気を緩めずに、「2012年全国大会はやはり北九州しかない」と誰からも100%言われるよう、将来ビジョンを見据えて徹底した大会誘致運動を行なって参ります。

北橋
2007年から過去2年に亘り、JC全国大会を誘致できず、無念の涙をのまれたということで、本当に頑張って頂きたいと思います。
昨年、本市は国から環境モデル都市に選ばれて、その後首相官邸において日本と中国の国家間プロジェクトとして天津市と当市が調印をいたしました。これは国家プロジェクトの中で当市の環境技術が注目されたことになるわけです。また、昨年12月にはヨーロッパとアメリカから環境先進都市の市長を来賓として招き、「環境モデル都市国際セミナー」を開催しました。また、100を超える自治体が参加して、低炭素化社会を進める日本のネットワーク「低炭素都市推進協議会」も設立され、初代の会長都市に本市が選ばれました。そして何よりも、内閣総理大臣が激励のためその場にお越し頂いたという、本当にドラマチックな展開となりました。
まさに、北九州市は日本の中で環境首都を目指すトップランナーにいると感じています。そしてこのことを市民の方にも、また市外の方にもしっかりと発信することが大事だと思います。JCの皆様は今まで市民力を高めるという理念で「環境」についてはもちろん、様々な運動を展開されています。市民主導で〝OMOIYARI溢れる持続可能な社会〟をつくるという、大変志の高い運動の輪を着実に広げて頂いております。こうした市民力というものが一番のカギだと思います。こういう道を歩み出せたのもJCをはじめとする市民の皆様が、公害防止から始まった、長い長い市民運動の中で常に先頭を切って頑張って頂いたおかげだと思っております。

松尾
「環境」に関しては、我々の全国大会誘致理念の軸となるテーマでもあります。そして2009年度は、先人たちの公害克服の歴史をもう一度ひも解いていこうと、『「青空がほしい」プロジェクト』という名で、戸畑の婦人会の運動から振り返り、それを市民に対して発信していく活動を行っております。やはりそこが歴史的な起点となって、世界の環境首都を目指す、また国から環境モデル都市に選ばれた今の北九州市の姿があると思います。しかし実際に、私たちを含めて市民の意識や行動がその言葉ほどに追付いていってないということを否めません。だからこそ、子どもたちの親世代である我々のような世代が、そのルーツをひも解き、先人たちの力によって公害克服したこと、環境問題についてももっと知った上で、次世代にバトンタッチするということが、明るい豊かな社会を実現するための大きな意義を持っているでしょうし、それを全国大会という手法を通して、同世代である全国各地のJCメンバーに伝えることは計り知れない効果を生み出すと思います。

北橋
北九州JCは事業のネーミングが良いです。1998年の「ECO-ECO理論」、1999年の「わっしょいキレイにし隊」、2006年の「KIDS ISO 14000プログラム」など、運動ではネーミングが非常に大事だと思います。また、環境首都市民へ向けみんなで成長するといった事業をずっと続けて頂います。

松尾
紫川の浄化運動もまた北九州JCの先輩と当時の谷市長が共に行なったことがベースだと聞いておりますし、KITA(カイタ)もJCの先輩方からですから、なにかしらピンポイントで必ず我々北九州JCの先輩が関わってきているということは、知れば知るほど興味深いですし、その後グルッと周って自分たちがそれをやっているというのが、巡り合わせを感じる瞬間でもあります。
今年は環境モデル都市の関係もあって、低炭素社会に向けたカーボン・オフセットを我々の事業としてやっていこうと今準備をしております。実際に今、モデル都市の関係部署とも話をしておりまして、「わっしょい百万夏まつり」でカーボン・オフセット事業をしようと考えております。最終日のフィナーレで花火があがりますけど、花火があがる際に出るCO2の量を計算し、その分電気を消して頂くといった内容です。『花火の北九州方式』ということで、ただいま準備を進めているところでございます。なかなか低炭素社会といってもピンと来ませんので、それを意識付けるきっかけとして、簡単でかつ柔軟なところからスタートできるよう、「わっしょい百万夏まつり」の場で今年の目玉として準備しておりますので、楽しみにして頂けたらと思います。極論を言うと、じゃあ花火をあげなかったらいいじゃないかということにもなりますが、あくまでも持続可能な社会というのは、現代人が普通に社会生活をしていく上で、それを担保として持ちながらいかに次の世代にバトンタッチしていくかというのが理念でありますので、花火というお祭りで大事な要素は残しつつ、それとは正反対の環境というものをきちんと意識させ、両立させることが重要だと思います。

北橋
本市の数あるイベントの中でも「わっしょい百万夏まつり」は、最も大きな規模のイベントですから、市内外から訪れる方々に対して発信できる絶好のチャンスだと思います。是非成功して頂きたいと思います。

松尾
私は今年度「わっしょい百万夏まつり」実行委員長でもありますので、頑張りたいと思います。

北橋
話は変わりますが、皆様の活動の中で「北九州ドリームサミット(KDS)」というのをずっと行なっておられます。大切な次の世代の若い人たちに良いチャンスを提供していらっしゃいますが、市長や副市長や局長等の役を作って、中学生たちが質疑をするシーンがあったら面白いだろうなと思います(笑)。

松尾
是非お願いします(笑)。昨年はやはり議会棟を利用させて頂いたことが非常に大きなステップとなったと思います。

北橋
昨年度の議会棟でのKDS実践は、まさに議会とのコラボレーションの実現で、我々行政も皆様をお迎えできて大変嬉しく感じました。
現代は投票率が非常に低く、自分が投票に行っても行かなくともどうせ世の中は変わらないといった、冷めた意識がまだまだ根強いのですが、中学生の生徒たちは生徒会活動ですとか色々な経験をしています。大人のような経験までは無いにしても、非常に目線が純粋だと思います。2年前の俳句コンクールの金賞が、「お父さんに分けてあげたい夏休み」。非常に素晴らしいものだと思いました。大人が子どもに学ぶことって結構ありますし、一人前の人格を持った人間だという目線で、KDSのような事業を継続してらっしゃるというのは、今後、着実に浸透していくと思っております。

松尾
2012年度全国会員大会誘致ができ、もし北九州市で開催することができれば、全国の中学生を呼んでサミットをしようという計画も考えております。壮大な夢になりますけれども、テーマは環境に特化してしまおうとも考えております。我々のまちから、この中学生から中学生に対する発信は、10年後20年後に大きな財産を残せると思います。

北橋
それからまた話が変わりますけれども、「恋文俳句」というのは、今年は行なっていないのでしょうか?

松尾
今年も行なっております。先日は、到津の森公園のイベントの中で、到津の森に関わる恋文俳句というものをさせて頂いて、「恋文俳句」という単語をひとつ定義付けていくことにより、きちんと市民の皆様に浸透させようと地道に行なっております。

北橋
「恋文俳句」は非常に素晴らしいです。今年は松本清張生誕100年記念ですし、本市には芥川賞や直木賞作家の方やアーティストもたくさんいらっしゃいます。俳句についても本市は非常にゆかりの深い場所です。橋本多佳子さんや杉田久女さんなど女流俳人を輩出しており、毎年、全国女性俳句大会も開催しています。俳句というのは、歴史もありますし、みんなが参加しやすい。私は、「冷めないで2人の気持ちと焼きうどん」というのを選ばせて頂きましたが、「恋文俳句」という新しい着眼点での市民活動の企画は非常に良かったと思います。
    本市では、今年度から「子供ノンフィクション文学賞」という新しいイベントをスタートしますが、小学生・中学生を対象に、全国の子どもたちから応募して頂きます。「ノンフィクション」というのは、直木賞作家の佐木隆三さんや文学界の方々の提案ですけれども、インターネット社会などのバーチャルな世界で今の子どもたちが遊んだりしている中で、「ノンフィクション」というのはなかなか面白いのではないかということで、本市から初めて発信いたします。また、「北九州市自分史文学賞」も今年度で20回目を迎えます。「恋文俳句」など北九州JCの皆様が行なっている文化の事業は、非常に大きな力となり、たくましい幹となっていくと思いますので、今後も期待しております。

松尾
「恋文俳句」も来年以降残していくよう考えて参ります。

北橋
「人間力大賞」というのもやってらっしゃいますよね。

松尾
昨年は北九州でも行ないましたが、もともと日本JCが行なっている事業です。青年版国民栄誉賞とも言われています。

北橋
私も昨年、審査員の末席におりましたけれども、このまちで非常に頑張っている色々な方が出られてました。すごく良いイベントだと思いました。

松尾
今年は、北九州版は行なわずに、日本JCが行なう「人間力大賞」のほうに北九州市からエントリーをさせて頂くべく、我々が媒体となって市民にアピールさせて頂いております。

北橋
九州厚生年金会館ホールの取得は、歯をくいしばってやらねばならないと思っておりました。大変苦しい道のりでした。北九州JCの皆様が市民の皆さんに働きかけて頂いて、商工会議所、文化芸術団体等たくさんの皆様方により約40万人の署名を獲得することができました。これは北九州JCの決断がなければできなかったと思います。当初は本当に100%、ホールを取得できるという自信はありませんでした。あの数ヶ月は非常に苦しい思いをしましたが、皆様のご協力のおかげで見事に実現することができまして、本当にありがとうございました。

松尾
あの時は署名を頂いても、結局どこに持っていくかということも問題となりましたし、それを逆に市民側から我々に対して突きつけられた時に、答えようがなかったことも覚えております。恐らく市長も、そういう答えがなかなか見つからないといった状況だったと思います。

北橋
本市の中だけで解決できる問題ではなく、国の売却方針が出ていただけに、あのホールの取得は、私の市長着任後最も困難な課題だったと思いますが、皆様のお力で乗り越えることができました。今後も環境をはじめ、文化等ありとあらゆる場面で、北九州JCの皆様のご活躍を期待しております。

松尾
どんな困難なことでも、チャレンジするのが北九州JCですし、一番忘れてはならない事でもありますので、常に守りではなく攻めるところからスタートし、チャレンジして参りたいと思います。
さて、話は変わりますが、今年は我々北九州JCが発行する「情報誌」を作ろうと現在準備を進めております。例えば市制だより等ありますけれども、もっと足元に戻って市民の情報を拾い上げ、それを発信する媒体がこれまで無かったということで、JC的に市民の皆様の周りにある資源をもっと個人が発信できるような、触媒的な情報誌ができないかなと思っております。持続可能な社会を目指していることからも、情報誌のタイトルは『Zutto 北九州』。「ずっと北九州である」、「ずっと北九州に住みたい」そういった思いを込めまして、今年うまくいけば来年以降も「Zutto」続けていきたいと考えております。創刊号は4月末の予定ですが、出来次第お持ちいたしますし、またまちづくり推進課を中心に色々と情報を頂くことになるかと思いますので、ご協力お願いいたします。

北橋
本市もこの度、市の基本計画の漫画版を発行いたしました。漫画で市民に伝えるということで、市役所も随分イメージチェンジをしました。大人だけでなく、子どもたちにも楽しく見て頂けるのではないかと思います。

松尾
基本構想の内容を漫画で市民に伝えるということですか?非常に面白い発想ですね。(実際に手にして)結構ボリュームがありますね。

北橋
基本構想・基本計画はどの自治体も持たなければならないのは言うまでもございませんが、恐らくそれを漫画による情報発信というのは、おそらく初めてではないかと思います。

松尾
北九州市の場合、特にテレビ媒体や新聞媒体等なかなかこれといったものがない中で、市民に対して発信・浸透させるのはかなりのエネルギーがかかると思います。

北橋
ですから、今回の「情報誌」のようなPR広報関係の新たな試みをされるというのは深い関心がございます。
言葉で「協働」=コラボレーションというのは、僅か二文字ですが、「協働」というのは我々行政の場にあるものの、ある意味意識変革という一面もございまして、つまり出来る限り目線の高さを市民の皆様に近づけるという努力、また市民の声・ニーズによく耳を傾け、出来るだけ色々な意見を聞き、一緒にまちづくりを進めていく必要があると考えております。まちづくりということに対し行政は責任を負っている訳ですけれども、北九州JCを始めとして、意欲に溢れた市民団体の方々に是非まちづくりの一躍を担って頂きたい、そういう視点からのスタートですので、様々なところで市民との「協働」を模索していきたいと思います。また私どもにおいて至らない点等がありましたら、ご指摘頂きたいと思います。
北九州JCは市民との「協働」といった意味におきましても幾多の実績をお持ちでございますし、ネットワークも素晴らしいものをお持ちでございますので、今後ともまちづくりにおきましては我々行政も何かとお世話になりますので、よろしくお願いいたします。

松尾
我々のエネルギーやパワーを是非逆に活用して頂きたいと思いますし、また我々もまちづくりを行なうにあたって、色々ご協力をお願いすることと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

北橋
まずはとにかく全国大会誘致の実現ですね。きっと夢のようなイベントになると思います。

松尾
昨年、静岡県浜松市において行なわれた全国大会に私はスタッフとして入ったのですが、あれだけ多くのメンバーが全国から参加し、朝から夜までJCのエネルギーがまちに充満しているというのを見ると、これを北九州市でやったら面白いだろうな、そしてすごい事になるだろうなと感じました。
2012年10月に開催できたとしたら、全国商工会議所女性会連合会の全国大会があってその翌週に我々の全国大会と、毎年行なわれているエコライフステージも開催される。これをうまく絡めていくと本当の意味での「共同」になるのではないかと思います。

北橋
良い季節の時ですね。

松尾
インフラにおいても、2011年春、九州新幹線鹿児島ルートも全線開通いたします。あのルート1本つながるだけで、北九州市に来て頂いてさらに九州全体にもシャワー効果を出せるだけのものができるのかなとも思います。

北橋
2012年は、新若戸道路、3号線バイパス、北九州空港など、かなり進んで第4コーナーを周っている頃かと思いますので、随分このまちの雰囲気が変わっているでしょう。そういった思いを描きつつ、全国大会誘致を今年こそ勝ち取られることを祈念いたします。頑張って下さい。

松尾
10月15日、全国大会が行われている沖縄那覇の地で、2012年全国大会の開催地が決定いたします。北橋市長ももし公務等がなければ是非お越し頂き、現地で我々と共にその決定を祈念して頂ければと思います。本日はお忙しいところ有難うございました。

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