対談① 　金　美齢 氏

松尾
まずは北九州の地へようこそ。

金
私、北九州は何度か来たことがあるんですよ。

松尾
そういえば、北九州の八幡にご親類がいるというお話をお聞きしたのですが？

金
そうなんです。実は、八幡は私の連れ合いの生まれ故郷で、彼は小学校6年まで枝光に居たの。
元々は彼の両親が日本で勉強するために台湾から来てて、ずっと八幡にいたんですよ。それから子供は皆八幡で生まれて、彼は10人兄弟の8番目。終戦後に台湾に引き揚げたんだけど、彼にとっては八幡は生まれ故郷なものだから、特別な思い入れがあるわけ。私もずっと彼から色々と話を聞かされていたから。北九州は私にとっても何か縁みたいなものを感じるんです。

松尾
私も生まれも育ちも八幡なので、狭いエリアの中で、こうしたご縁があるのを大変嬉しく思います。JCが目指すビジョンは年を経ることに明確に。

松尾
ところで金さんは講演をされているので、やはりJCとも結構関わりがあるのですか？

金
そうですね。実は私はJCとは仲がいいんですよ（笑）。たしかJCとの出会いは2000年の京都会議だったと思います。

松尾
2000年ですか。ということは、私のJC入会が2001年なので…。

金
私のほうが先輩ですね（笑）。でもその2000年頃からJCの方策が変わったと思う。以前は「世界平和」だとか、どちらかといえばビジョンが抽象的だったと思うんだけど、あの年辺りから地に足がついてきたというか。日本という国をこうしたいっていう具体的なビジョンになってきた感じがしますね。

松尾
確かに、私も日本JCが目指すビジョンは年を経ることに明確になっていると感じます。北九州のイメージは工業都市。しかし、五市それぞれの特色の集合体が北九州。

松尾
さて、ここで金さんとも非常に縁のある、この北九州のイメージをお聞きしたいのですが。

金
ずばり工業都市。やはり八幡製鉄所のイメージが強いですね。それから、九州の最北端。

松尾
工業都市以外の顔がなかなか見えないまちと言われておりますが、旧五市合併の名残でそれぞれの地域の特色があり、そしてその集合体がこの北九州市ということになります。
2009年度は北九州という地域アイデンティティの確立に向けて、このまちの素晴らしさを市民が再認識するよう努めているので、北九州は外部からはどのように見られているかが非常に気になります。北九州JCの会員数は全国709LOMの中で5～6番目。それをもっと強調した方が良い。

金
まさか北九州がこんなに大きな都市だとはなかなか想像し難いですよね。
　　　九州というとどうしてもまず最初に浮かぶ大都市は福岡市で、JCの会員も福岡JCが九州でダントツに一番多いという先入観がある。
私も意外でしたけど、北九州JCの会員が九州はおろか全国的に見ても、会員数が多いのであれば、それをもっと強調した方がいいと思います。

松尾
実際に全国709あるLOMの中で、北九州JCは会員数では上から5～6番目位に位置しています。どこも会員減少で苦しんでいる状況で、我々北九州JCはそれだけの誇りを持っていいと思います。今年で3年目になる全国会員大会誘致運動。

松尾
しかし余談ではありますが、北九州JCは日本最大の田舎LOMだと内外から変な評価を頂いた時期がありました（笑）。

金
え? どうしてですか?

松尾
いろんな意味でなかなか外に出ない。と言う事でしょうか。なぜか内にこもって活動しているイメージが強いらしく、外部からどんなことやっているのかが分かりづらいと。例えるならば、まるで炊飯ジャーのようですね。開けたら熱いが閉めるとショボショボと…。素晴らしい歴史と伝統があり、現役会員がすごい情熱を持って北九州のために社会のために、まちづくりを行っているのに勿体ない。だからどんどん発信していかなければならない。そんな反省点も含め、2007年から日本青年会議所の全国会員大会の誘致運動を開始し、今年で3年目になります。そういった活動を通じて、積極的に外に目を向けるようになってきて組織の雰囲気や会員の考え方もかなり変わりました。
北九州はこれだ！というものを発信する必要がある。

金
結局、北九州市って言われても、小倉の駅があるところというのも理解できないし、合併して誕生したどちらかと言えば新しい都市なので、やはり広く知られていない。小倉や八幡は知られているけれど、北九州市という名称からは
なかなかイメージがしにくい。そういうことなんですよ。

松尾
我々自身も五市合併という歴史から、北九州市としてまだまだ心からひとつになりきれていない部分もあると感じます。まずは私たち北九州市民がひとつになり、外にこのまちを発信していく必要があると考えております。

金
やはり北九州といえばこれだ、というのを作らなければならないと思います。私たち古い人間は、例えば小倉だったら無法松の一生、八幡だったら八幡製鉄所のようなそんなイメージが強い。もっと北九州はこれだ！というのを発信する必要がありますね。発祥文化の多い北九州。オススメは小倉の焼うどん。

松尾
実は北九州は発祥文化が栄えていまして、例えば競輪・パンチパーマ・商店街のアーケード・24時間営業のスーパー、そして特にイチオシなのが小倉の焼うどん（笑）。また、八幡は日本における都市公民館の発祥地でもあります。

金
結構あるんですね。全然知らなかった。

松尾
また、北九州は女流俳人を生んだことでも知られていまして、女流俳人の地位を確立したと言われる杉田久女や橋本多佳子が有名です。更には公害克服に多大なる貢献をした戸畑の婦人会の運動など、女性が台頭し活躍してきた歴史を持つまちでもあるんです。

金
私、九州の女性好きなんですよ。男尊女卑と言われた時代も九州の女性は強くて、情に厚くて。でも、今日あなた方のお話を聞いていると、本当に郷土愛に満ちている。誇りに満ち溢れている。私の連れ合いもきっと同じ想いだったでしょうね。その想いを胸にこれからも頑張ってください。またお会いしましょう。

松尾
本日は貴重なご意見ありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしております。